⑥ 失った者にしかわからない 鬼 もしかしたら
失った者にしかわからない
失った時の大きさは
失った日常の尊さは
失った笑顔の意味は
失った者にしかわからない
神さま 私はどうなってもいいです
この子へ 未来をください
夢の中でも いじめっ子に追いかけられ
罵られているのか
獣のようなうめき声をあげる 14歳
失った時の大きさは
失った日常の重さは
切られた者にしかわからない
失った仕事の重たさは
失った仕事の重たさは
失った席の意味は
失った明日の大きさは
失った者にしかわからない
仕事は、今、現在そのもの
給料がもらえるから
明日の食事が用意できる
家賃も払える
仕事は未来への希望
職を失った苦しさは
失った者にしかわからない
職を失った悲しみは
切られた者にしかわからない
(心労で仕事も✖✖✖。大好きな仕事だった)
鬼の子
泣きながら眠った14歳、娘が
「いや~」
夢の中で叫ぶ
獣のような吠えと唸り
真冬の廊下で
母は立ちすくむ
寝言と慟哭
夢の中でも繰り返される いじめ
消えない記憶 傷
「 母はここにいる だいじょうぶ だいじょうぶ 」
と 声をかける
やがてまた眠りへ
どこまで追いかけるか
いじめっ子 小さな鬼達
鬼が相手なら
鬼にもなろうと決めた
凍てつく冬
もしかしたら
もしかしたらと弁当を
もしかしたらと水筒を
もしかしたらと 朝食の用意
もしかしたらは
やはり もしかしたらで
ほんとうにはならない
それでも
もしかしたらと
セーラー服の埃をはらう
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