ろ;足長おじさんの遺言 己が正しいと信じる道を貫き通せ

拝啓、文部大臣殿 男女平等ですよね

昭和45年だっただろうか?

大正生まれの父は、おさげ髪の私に言った。

「 女に学問はいらない。大和撫子になれ 」

 

悔しくて、でも言い返せなくて、それならと

    父が尊敬してやまない文部大臣に手紙を書いた。

「 拝啓、文部大臣さま。時代は変わり男女平等ですよね。なのに時代遅れの父は、女に学問はいらない。大和撫子になれと言います。父はまちがっています。先生、父を叱ってください 」

  中学生の私に、文部大臣から返事が届いた。

見たこともない、それはそれは見事な墨の香が漂う達筆だった。

 

田舎者の少女は、文部大臣の手紙がどれほど価値があるものか気づきもせず、

ポイとゴミ箱に捨てた。

しかも、父と衝突するたびに、手紙を書いては

父に諫言してくれと書き綴ったのだから、若いとは オソロシイ❕

 

専業主婦から10年が経ち、このままでは私はダメになると

思い立って受けた消費生活アドバイザー試験。面接官は、聞いた。

「 あなたの人生に影響を与えた人は誰ですか? 何をその方から学びましたか?」

答えに窮し、思い出したのが、先生の言葉だった。

 

「 古来、日本には聖徳太子三宝の教えがある。

また、和をもって尊しとなす という教えもある。

黙して 人の和をはかるのと 

言葉で 人の和をはかるのでは

どちらが難しいと思うかな

もし、あなたが後者を選ぶならば

どうぞ 

人の和をはかれる言葉を使える人になってください 」

 

足長おじさんは、脳卒中で達筆な字がヨロヨロになり、読むに苦労する字になっても、最期まで、おバカな私に、メッセージを送ってくださった。

入院先のベッドから 最後の葉書には

 

 己が正しいと思う道を貫き通しなさい

 

ふう、ねぇ、もう、ふう、ふうふう 

己が正しいと思う道は

正直に胸に手をあてれば わ か る

でも 貫き通すとなると

並大抵のことではない。

 



時代は、昭和から平成 そして令和へ

天国の足長おじさん

未だに私は、未熟者デ 失敗ばかり

言わなきゃよかったと 後悔ばかり

ついでに黙っていると 利用されるばかり

ふう、ねぇ、もう、ふう、ふうふう 

己が正しいと思う道を貫き通せ と教えをいただいたけど

貫き通すとなると・・・・?????????

 

ふう、ねぇ、もう、ふう、ふうふう 

約束したようなステキな女性になれないまま、私ももうすぐ先生の所へ召されそうです

fuu!ふう。ねぇ、もう、ふう、ふうふう。

 

🎈 追記  天国の先生へ

 NHKのTVでリクルート事件を見ました。事件には、興味ゼロ。

でも社長元妻の碧さん、ステキな女性でした。知性を包み隠す、美しい日本語、とてもとても美しかった。高齢でお人柄がにじみ出る美しさ、たくさんの刃傷を受けられたはずなのに。ひさしぶりに、美しい人を見ました。きっと先生は碧さんのような女性になってごらんと言われたのでしょうね。fuu!ふう。